「知」の獲得は「言葉」の獲得

第1講 S-9

 前回の中盤で「ようやくまとめにはいる」としたが、まとめとして特筆することはない。結論は、『第1講 S-1』で論じた通り、「言葉とは人間のみに与えられたものである」だ。このように最初に、言葉の定義のついて明記した。ここまでの記述を読めば、この定義に対する疑義は少なくなると考えられる。つまり、全くなくなることはないだろう。しかし、その時には「コメント」を書いてほしい。議論は一方向ではなく、双方向、多方向によって成り立つからである。

 さて、言葉の「定義」はしたが、これでは言葉の本質を掴めていない。そもそも、「言葉」と学問には切り離せない関係がある。学問とは研究による「知」の獲得である。では、「知」の獲得は何によって為されるのか。それは、「言葉」の獲得である。つまり、「言葉」は学問を内包しているのだ。そのため、「言葉」と「知」とを連関させて思索することが、これからの展開の講となる。

 以上で、『第1講』を終える。

 

序章の意図とこれからの展開

 前回の『序章の意図』で、「人間は「言葉」によってものごとを思考し、発見し、表現する」と記した。これは上述した「学問とは研究による「知」の獲得」が、「言葉」を根本としていることの証左である。ではその言葉とは何であるか。これについては再度の引用になるが、「「言葉」と「知」とを連関させて思索する」ことで明確にする。これが、これからの展開だ。