個人主義を少し眺める
第16講 H-7
本日、2本目である。1本目では社会主義の基本的な形、理念について話した。そして、社会主義では国家=資本の等式が成り立ち、これによって社会主義の対義語が資本主義ではないと暗示した。断面のみを細かく記しているため、全体を見通すには程遠いが、少しずつ全体を見渡せるほどの内容を持たせたい。
社会主義の対義語は資本主義ではなく、個人主義である。では、個人主義とは何か。個人主義は、自由主義に近い考え方を持っている。つまり、社会福祉や社会制度の享受は、国家が与えるものではなく個人が勝ち取らなければならない、という考え方だ。そのため、平等や公平についても個人が自らの手で掴む必要がある。このような社会では、そもそもすべてが競争の原理で成り立っており、利する者はさらに利する、貧する者はさらに貧するのである。資本は国家に寄与するのではなく、個人や個人の集団が持つことになるのだ。端的に言えば、これが資本家や起業家、あるいは企業として存在するのである。ゆえに、これを資本主義と呼ばれることが多いのだが、実は個人主義は資本主義とは異なる。
さまざまな主義主張が混在する現代社会に、こうして何かの主義を定義することは困難をきわめ、分類や配置をすることはさらに難しい状況である。その中で、どうしても止まることはできないために、考える時間が少なくなる。まだまだ、考える必要があるだろう。