中身と外身とその狭間

第10講 S-3

 文章を書く。これがなんたることか、むつかしい。出来事や場面、思考や主張、脳内で作り上げたものを言葉に変換して出力する。なんたる難しさか。

 ただ駄弁を連ねるだけならば、ほとんど延々と書くことができるだろう。しかし、だれかに読ませる、万人に公開するならばそれなりの内容が必要である。やはり、やはりむつかしい。

 なまじなければなきにこと、そうか、閃いた、かもしれない。閃き、覚悟、覚る、悟る。言葉に惑わされている。言葉に惑わされてはいけない。

 なぜだ。なぜ解っているのに、深奥ではそれを呑み込めないのか。まだまだ、言葉に惑わされるのだろう。