言葉を買うことの一端

第3講 C-11

 前回に小さな終わりを垣間見た。しかし、「言葉」は世の中に溢れている。本や新聞などの紙媒体とテレビやネットなどの電子媒体が主であるが、これは大枠でしかない。新聞を例にすると、見出しや本文の他に、広告文や小説文などもある。ここでこのそれぞれに触れてもよいのだが、これを続けると膨大な時間を要するためしないでおく。

 さて、実は存在した本題について記す。言葉を買うことについて。これは、上述した媒体における紙媒体のことだ。

 本。文庫本一冊600円から1200円程度であろうか。また、単行本は1000円以上する。1000円以上と言っているため、1000円以上はすべて範囲なのだが、念のため記す。ものによっては2000円以上の単行本がざらにある。さらに、辞典などは6000円以上、或いは1万円を超えるものも存在している。価格の話は世間的であるが、これら本の価格は、「言葉」を買っているに等しい。しかし、「言葉」を買うことは「言葉」そのものを買っているわけではない。例えば、小説。これは、物語を買っているのである。例えば、参考書。これは、学習の参考のための書物であり、「言葉」を買っているわけではない。

 だが、この二重構造は不安定なものである。本で「言葉」そのものを買っているわけではないのに、本は「言葉」を買うに等しい。論考の進む先が徐々に見えてきたところだが、以降の内容は次回を期すとする。