第11講 S-6
またこうして、忘却している。何を忘れていたのかは、これである。
休日になると、自室に独りでいると、ふと思う。世界はたった一人の人間に干渉することはない。同時に、一人の人間が世界に干渉することはできない。端的に言えば、人がどうなろうと、それとは無関係に世界は変化していくのである。
単に人の生き死にだけのことではなく、行動の一切が世界と切り離されている。
もっと踏み込んだ議論が必要なのだろうが、今回はここまでにしておく。なぜなら、今まさに行っているこのことも、世界とは無関係であり、何たる何も為していないからである。