言葉の具体化と抽象化の考

第2講 C-4

 前回の終わりに、「次回は一端まとめに入る」としたが、前回の具体例をもう少し提示する。

 前回、「既知の説明文を集約する未知の言葉を知ったとき」について「叉手」という言葉を導きながら説明した。しかし、これは何も辞典や辞書に掲載されている言葉のみに当てはまることではない。ここで具体例を出してみよう。ある種クイズのようになる。「ある組織によって高校生が少年となり、この組織を追いながら数々の事件を解決していく推理作品」。もはやこれ以上の説明は不要であろう。むしろ、括弧内の一文中の読点までで、何を指しているのか分かる人も多いと想像できる。『名探偵コナン』である。つまり、括弧内の44文字は、たった6文字に集約できるのだ。加えて、『名探偵コナン』の6文字から派生する「言葉」は多くなる。

 派生する「言葉」が多い、とはどういうことか。例えば「鏡」という「言葉」を見聞して何を想像するでろうか。もちろん「鏡」であることは間違いない。しかし、形や大小、用途などによって様々ある。それを言葉を用いて表現すると、「卓上鏡」「化粧鏡」「全身鏡」「三面鏡」となる。つまり、「鏡」という「言葉」から「卓上」や「全身」などの「言葉」を頭に付けることで、その「鏡」は具体化される。一方、「化粧鏡」や「三面鏡」から「鏡」を取り出すとき、その「鏡」は抽象化されたものとなる。

 

 少々話が飛躍したため、続きは次回とする。