既知を集約する未知の言葉

第2講 C‐3

 今回は、「言葉を知る」具体的方法の3つ目である「既知の説明文を集約する未知の言葉を知ったとき」について説明する。例によって例を挙げよう。

 蛇足だが、その例を20分程度探していた。ようやっと見つけた。

 例えば、「彼は両手の指と指を組み合わせて、思いを巡らせた」という一文がある。この中の「両手の指と指を組み合わせる」行為は「叉手」(しゃしゅ、さしゅ)であり、この熟語によって「両手の指と指を組み合わせる」行為をまとめることができる。つまりは、「彼は叉手し、思いを巡らせた」としても文意は等しく、その上、一文は短くなるのだ。短い文の良し悪しは別として、「説明文を集約する言葉」の利点は、「集約」にある通り、短くなることである。一々の説明を省き、内容を端的に示せるのは、集約された言葉の特長となる。

 この例をまとめると「両手の指と指を組み合わせる」という既知の説明文は、「叉手」なる未知の熟語の意味であった。念のため明記するが、ここでの「既知」は既に知っている、よりも、一見して理解できる、と解釈してほしい。つまり、「両手の指と指を組み合わせる」ことは「叉手」である、と知ったのだ。これが、「言葉を知る」具体的方法の3つ目である。

 説明の内容が上手くまとまっていないが、常日頃、言葉と向き合っていると分かるであろう。これは決して特殊な事象ではなく、一般的な事象だ。

 次回は一端まとめに入る。