流行とはやりと流行り

第13講 C-10

 食や食事に関する話を数回に渡って取り上げているが、この話題になったのは「最低限を最大限に生きる」ことの中での1つであった。「つまり、生きる基本となる衣食住に加え、睡眠にのみ時間を使うこと」が、最低限を最大限に生きるための生活である。

 さて、今回からは衣食住の衣、衣服や衣類の話をしよう。

 俗にいうファッションとは、単に服装や髪形を意味するだけでなく、それらの流行やはやりを含意している。流行とはやりは、漢字にすれば同じ熟語を用いているため、ほとんど同義語であるが、あえて、文字数を稼ぐ意味や余分なことを書く言い訳として書いた。ゆえに、今後は、流行とはやりは、流行という言葉で統一して用いる。

 流行はたいてい季節ごとにやってくる。春夏秋冬を考えれば、一年間におおむね4回あることは当然だが、これはそれぞれの季節の変化でなされる衣替えに類似している向きがあるだろう。それぞれの季節に衣替えと合わせて、複数のメディアで今期の流行を発信しているのはよく見聞するところである。しかし、それらは真に自分が身につけたい服装とは異なる。これは、とある本からの引用だが、現代人は物質を買っているのではなく、情報を買っているのである。どういうことか。つまり、食べ物でも服でも、あるいは、雑貨や日用品であっても、見た目には物質、モノを買っているように映る。ところが、買った本人はそれが欲しくて買ったのではなく、「周りの人が持っている、買っている」「これが今、人気らしい」「持っていること、食べたことを自慢したい」「流行に敏感だと思われたい」。そんな感情に動かされ、モノを買うことで情報を消費しているのである。このようなことが、とある本に記されていた。

 流行とは、つまりそういうことなのである。自分が欲しいのではなく、周囲に合わせて、欲しいと思い込む、あるいは、欲しくもないものを買う。衣服については、これが顕著であると考える。

 続きは次回にしよう。