「人」の定義

第1講 S-3

 前回の最後に『それぞれ「ヒト」の認識の蓋然性に依拠するしかない』と記した。「ヒト」が、これが「ヒト」であろうと考える存在の最大公約数、和集合が「ヒト」であり、「ヒト」の定義である。

 さて、「人と人間の違い」を説明していた。繰り返すが、「人」は生物の中でのヒトである。生物は、ドメインからはじまり、界・門・綱・目・科・属・種と分類されているらしい。しかし、付焼刃の理解では到底、その内容を知ることはできない。とはいえ、「サル目ヒト科」は聞いたことがある。言いたいことは、生物はこのように分類されている、ということだ。つまり、「人」とはこのような生物の分類として存在する「ヒト」、これに漢字を当てたものである。

 では、「人間」とは何か。前回に、「人間界」と呼ばれるところにいる「ヒト」の形をした生き物である、と明示した。「人間界」、これは、現に今、見えている世界と換言できる。例えば、地獄や天界といわれるところは見ることができない。そもそも、それが場所なのか空間なのか、あるいは別の何かか、これも不確かである。ここでも、場所と空間の違いを説明しなければならないが、ここでは割愛する。例えば、神や幽霊とよばれる存在は、おおよそ「人間」の形をしている。それはなぜか。「人間」以上の形の存在を知らないからである。多くの「人間」は、神は「人間」より上の存在であると認識している。

 

続きは次回にする。